2016年のある日

日付 不明(2016年のある日)

 

 

 

平面の上を舐めつくしたあとにようやく言葉が浮かび上がってくる。

大切なのは心だ。絵と船の落書きをセメントで固めたもの。

頭蓋骨を叩き割ったかのような音に私は驚いた。

金髪の少年は眠りにおちると、ー目覚める。鼻の頭が乾いて痒くなる。

人は見た目が何割だとか。船に乗って花の咲かない砂漠をすすむ。

 

 

 

信号はもうすぐ赤になる。私は風を切って自転車を走らせた。呼気は白く後ろに流れる。左にも右にも、どこまでも続くヘッドライトの瀑布。その中では判断の術がすべて奪われてしまっている。夜空には星が瞬いているはずだった。雲が泳いでいるかもしれなかった。

心音が耳に届く。きらめきが涙の膜にぼんやりになって捕らわれる。幸運にも横からは一台の自転車も、一人の歩行者も、走行者もやってこなかった。白い縞模様のかすかなる凹凸の上を走り抜けた。

 

 

 

そこで一つの話が終わって私は目をあげた。窓の外は交差点。隣の席には男。室内は心地よい暖かさ。コーヒーの匂いがもう忘れられている。